クレカとロレックス

先日、クレジットカードの思い出について語りましたが
今回も引き続き思い出ばなしとなります。

 

学生時代、無事にクレジットカードの作成に成功(二度目にして)
したものの、しばらくは出番がありませんでした。

というのも、前回の記述にもあったように絵に描いたような
貧乏学生だったワタクシは高額な買い物をすることもなく、
またそんなカードでホイホイ買い物をしようものなら
途端に破産してしまう、とビビッていたため
ただただカードを眺める日々を過ごしておりました。

 

そして社会人2年目、ついにその時が。

 

入社した会社で幸か不幸か、空前の高級腕時計ブームが巻き起こっており
私のその渦中におりました。

 


最初は、


「時計に何十万も払うやつの気が知れない」

「時計なんて時間を見るだけしか用途がない」

「腕時計1本に10万かけるなら、1万の時計を10本買うわ」


と斜に構えてブームを冷めた目でみておりました。


※だた、誤解の無いよう言っておきますが
 私は時計に興味が無いわけではなく、
 高級腕時計に興味が無いだけです。
 G-SHOCKやデータバンク等の腕時計は
 10本以上所持していました。
 カシオばっかりだな。


しかし、あるとき当時仲の良かった課長さんに言われた一言が
私の人生を変えたのです。

 

ある日、ロレックス・サブマリーナを手に入れたばかりの課長が
私のデスクまでやってきて、ニコニコと自慢をはじめました。

 

ピッカピカのサブマリーナを見て、くだらないと思いながらも
羨ましいとも思っていた私は、そのピカピカの腕時計に唾を吐きかけ

 

「そんなもんに数十万も支払っているなんて無駄遣いだ!」

と思いつく限りの罵声を浴びせかけました。(唾も)


するとその課長さんは怒りもせずに、諭すように私に説き始めました。

 

「一生ものって言葉をしってるかい?
 この時計はね、ちゃんとメンテナンスをしてあげることで
 100年でも200年も動いてくれるんだよ。
 残り50年くらい生きるとして、50万の時計を買っても
 1年で1万円、月に1000円しか掛かっていないことになるんだ。
 これって、そんなに無駄遣いかな?」

 

「女の人は、宝石等の装飾品やカバンで値踏みされてしまうけど、
 男の人は、腕時計で値踏みをされてしまうんだよ。
 海外では安い腕時計をしている男は安く見られてしまうんだ」

 


うっせー、ここは日本じゃ!バーロー!
と10歳も目上の課長に悪態をつきまくっていましたが、
上記の言葉がどうも心の奥底に引っかかってしまったのです。

 


気がつくと私はせっせと高級腕時計の勉強をはじめていました。

 

この時点ではまだそんな時計を買うつもりはなかったのですが、
周りからしたらいいカモがネギ背負ってやってきたようなもんで
ブーム渦中の先輩方から毎日どのブランドのどのモデルがいいのか
レクチャーを受ける日々で、私の意識は確実に変っていきました。

 

いよいよ熱が高まってきて、周りからのプレッシャーもあり
これはもう買わざるを得ないとなったときにふと現実に。

 

 

あ、おれそんな金がねえ・・・と。

 


まだまだ安月給な社会人2年目、そんな大金はございません。
だからまだやめときます、と信頼する課長さんに伝えたところ、

 

「何言ってんの?社会人だからカードで買えるでしょう。」

 

 

今聞くと、聞き方によってはパワハラと言われてもいい案件ですが、
当時のワタクシにとっては有り難き助言でしかありませんでした。

 

 

そうか、クレジットカードか!!
やっと出番がきたか!

 

 

そうなってからは早いものでした。

 

そして幾つかの候補の中から最終的に選んだのがコイツ↓

 

 

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ロレックス デイトジャスト ホワイトビッグローマ

 


こいつに決めた理由は、やはり洗練されたボディ。
シンプル且つエレガントなフェイス。
そこに主張する文字盤・・・

 

とか色々理由をつけてますが、なんといっても
「ロレックス」っていう響き。

 

泣く子も黙る、ロレックス。

 

女子供でもわかる、ロレックス。

 

 

どうせ高い金を払うなら、誰でもわかるものじゃないと
っていう貧乏根性。

 

高級車といえば「ベンツ」というように
高級腕時計といえば「ロレックス」という貧困な発想。

 

 

でも、なんとでも言え。

私は買うんだ、ロレックスを。

24にしてロレックスのオーナーなんだ。

 

 

 

と完全にいっちゃてた私はもう誰にも止められない。

 


折りしも夏のボーナス時でもあり、その支給日に有休をとり
どうせ買うなら地元のウォッチマンとかじゃなくて、
花の都大東京でしょ?
ロレックスと言えば銀座でしょ?ザギンでしょ?
ということで東京・銀座まで買いに出かけました。(当方田舎モノ)

 


ロレックス専門店の場所を確認し、
銀行で振り込まれたばかりのボーナス30万をおろし、
一旦お店の前で呼吸を整えていざ店内へ。

 

 

はじめてのザギンとは言え、おのぼりさんとはばれたくなかったので
こなれた感を出すために、その日はTシャツ・ハーパン・ビーサン姿。

 

そのため、店内には3人ほどの店員が居ましたが、
他のお客がいないにも関わらず、わたしによってくるものはいませんした。

 

 

嗚呼やはり、人は外見でものを判断しているな、と。

 

もし、この格好でも腕にビシッと高級腕時計を着けていたとしたら。

そう思うとやはり今日はロレックスを買っていくしかありません。

 

 

30分くらい店内をうろついていましたが誰も寄ってこないので
意を決して一人の店員を呼びつけました。

 

 

「コレ、買うから見せてください」

 


そういうと、驚いた顔をした店員がダッシュで寄ってきて
いそいそとケースを開けてビックローマを取り出しました。

 

実際に腕にはめてみて、何ていうんですか緊張感?
分析できないフォーリン・ラブ。

 

時計をつけて身震いがしたのは後にも先にもこのときだけ。


暫くは悦に浸っていましたが、店員の怪訝な顔つきで我に帰り
本当はとんでもなく緊張していたんですがそれを億尾にも出さず
まるでコンビニでタバコでも買うようなテンションで、

 

「じゃ、これで」

と現金30万をハーパンのポケットから取り出し

「あ、残りは月賦で」

と、カードの確認をしてもらってる時も内心バクバクでした。

 


無事に購入ができて、意気揚々と地元へ凱旋したのですが、
帰りの新幹線はもちろん一睡もできず、
まわりの人間が全て泥棒・強盗に見えたことを思い出しました。

 


そんな初めてのクレジットカードの思い出。

 

 


・・・え、その時買った腕時計はって?

 

そりゃ大事に持ってますよ。
一生モンですから手放しませんよ。

 

 


今は3,980円で買ったカシオ・データバンクを使っていて
ロレックスは机の奥底に大事にしまってますけどね。

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やっぱり、カシオでしょ。日本人は。