怒りのトリガー
『Nobody Calls Me Chicken!!』
かの大人気SF映画、バック・トゥー・ザ・フューチャーで主人公マーティ
(マイケル・J・フォックス)が言う、名ゼリフ。
バック・トゥー・ザ・フューチャーと言えば、映画史上でも
最も面白いと言われている名作ですが(超個人的意見)、
登場人物、台詞、音楽どれを取っても秀逸。
この映画の話だけでビール3杯はおつまみなしでいけちゃいますが
長くなってしまうので、まあそのお話はまたの機会。
で、映画の中でマーティは「このチキン(腰抜け)が!」となじられると、
「Nobody Calls Me Chicken!」(誰にも腰抜けなんて言わせない!)
とお約束のようにブチ切れる、いわゆる切れ芸(@ダチョウ倶楽部)
を持っているのですが、しかしマーティはなんでもかんでも
噛み付くわけではないのです。
というかどちらかと言うと温厚な部類。
マーティにはマーティなりの怒りのトリガーがあって、
例えばビフに「Hello! Anybody home?」
(おーい、誰か入ってますか?=お前の頭は空っぽか?)
となじられても、ブチ切れたりはしないのですが、
「Chicken!」と言われた時だけは我を忘れる程激怒するのです。
そして、私にとってこの「Chicken(腰抜け)」=怒りのトリガーは、
妻に言われる『ほら、すぐデブは言い訳する』という言葉なわけです。
日々の食生活と運動でダイエットに取り組んでいる私ですが、
やっぱり毎日毎日、仕事終わりにジョギングって辛くなるじゃない。
本当は気分が乗らないだけなんだけど、
やれ寒いだの、暑いだの、腹が減ってるだの、向かい風が強いだの、
やれ足が痛いだの、膝が痛いだの、腰が痛い気がするだの、
やれ雨が降ってるだの、あの時と同じように雪がチラついているだの
大雪が降ったせいで車は長い列さだの、とにかく理由をつけて
ジョギングを休もうとするんですよね。
でもこれは別にデブ特有の現象って言うわけではなく、
どんな人間にもきっとある現象なんですよ。
我々は例外なくみんな自分が大好きで、やっぱり甘やかせちゃうんです。
ただデブはその範囲が広いと言うか、ちょっと甘やかせが過ぎると言うか
まあそこの違いだけなんですよね。
で、まあしとしと雨も降っているし、昨日のジョグの疲れも残ってるし、
今日はビール片手に野球中継でもなんてのんびりしていると、
妻が聞いてくる訳です。「あれ?今日は走らないの?」って。
だから言うわけです、「今日は雨だし、昨日の疲れが残ってるし」って。
そうしたら言うわけです、この妻が。
半笑いで言うんですよ、この良く出来た妻が。
『ほら、デブはすぐ言い訳する』
で、カーッとなる訳です。
だれがデブやねん、と。
いやまあその、世間的には充分デブなんですけど。
いやデブって言われたことを怒っている訳ではないんです。
それば自覚もあることですし。
それよりもデブはすぐ言い訳するっていう文言、
つまりはデブは心が弱い、甘ったれている、決めたことを守れない
という人間性をひどく責められている気がして怒るのです。
デブと言うだけで人格まで否定されているようで。
だから私は怒るのです。そしてこう言うのです、
『Nobody Calls Me a Pig!』(誰にも豚なんて言わせない!)と。
そして怒りにまかせたまま、雨の中ランニングシューズを履いて
さっそうとジョギングに出かけていくのです。
で、途中で冷静になる訳です。
嗚呼、どうして挑発に乗ってしまったのか、と。
こんな雨の夜に、何故ジョギングなぞしているのか、と。
ウチの嫁はやはり鬼か、と。鬼の子なのか、と。
でも、私はこうも思うのです。
これはきっと優しさだと。
なんでもかんでも言い訳をして腰を上げない自分を
まさしく奮い立たせるために、あえて叩きたくもない憎まれ口を
叩いてくれているのだと。
そうか、そうだよね、きっとそうだ。
やっぱり良く出来た妻だ。
きっと熱いお風呂を沸かして待っていてくれている良く出来た妻に、
帰ったらこう言おう、「いつもありがとう」って。
そう妻に感謝をしながらジョギングを終え清清しい気持ちで
ウチの玄関をあけると
まあ、寝てるわな。
電気も消えてるわな。
風呂はぬるいまんまだわな。
でも、風呂の栓を抜かれていないのはさりげない優しさだよね☆
とぬっるいぬっるいお風呂につかっていると何故だか熱いものが頬をつたいます。
そんな感じで、順調に運動はしておりますが、ただ体重は落ちません。
停滞期かしら?
色んな意味で。